健康診断で毎年訊かれる「運動をしていますか?」の質問。30代の間はさほど気に留めることもないが、40代になり脇腹の贅肉が気になり出すと、「Yes」と答えられない自分が罪人であるかのような気分になってしまう。
「何か手軽にできることは?」と、バスで10分足らずの職場と最寄り駅の間を朝夕歩き始めた。時には緑道の草花や鳥のさえずりに癒されながら、時には猫の糞を踏んづけ出社早々靴を洗う羽目に遭いながら…。だが、往復5kmを1年近く歩き続けても、いまいち体力向上やダイエット効果を実感できなかった。
ご多分に漏れず、次に始めたのがジム通い。とはいえ元々怠惰な性格なので、いきなり民間施設の固定会員になるほどの勇気も財力もなく、まずは公共のスポーツセンターの回数券を購入し、休日だけ通うことにした。マシンを使った筋トレ以外に、無料のスタジオレッスンも受けられ、「ヨガ」、「エアロビクス」の他、南米発祥のフィットネスプログラム「ズンバ」や、背骨の歪みを整えて身体の不具合を解消する「背骨コンディショニング」など、運動不足の我が身に持って来いのプログラムが用意されている。
レッスンに通い始めて1~2か月もすると顔馴染みもでき始めた。参加者の8割以上が女性のため、最初は気恥ずかしさもあったが、ほとんどが一回り以上年配のご婦人方ゆえ、程なく馴染むことができ、「健康増進」に専念して汗を流せるようになった。中には20年近くジムに通い続ける、筋トレの仙人のような男性もおられ、直伝の効果的な筋トレ方法を授けられることもある。週に1~2回のトレーニングでも、普段使わない筋肉に刺激を与えることで、身体の怠け癖を放置することが無くなり、健康維持に十分効果があることを実感できるようになった。ところが…。
「ハリキッて行こう!」と、積極的にジムに通うこと4カ月。いきなりいろんなエクササイズを始め、ハリキリ過ぎたツケが回り、変形性膝関節症(しつかんせつしょう)を発症。関節の軟骨が擦り減り、骨と骨の隙間がなくなっていた。膝に溜まった水を医者に抜いてもらい、「すぐ調子に乗るから」と妻に呆れられ、以降、通勤グッズに膝サポーターが必須となった。長寿命化により80代でも元気に走る高齢者がいるというのに、40代半ばにして「年寄りの冷や水」とは情けなし。現在は奈良県経済の調査もそこそこに、効果的な膝のリハビリ方法の研究にも余念がない。