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奈良県各市町村における人口移動の状況 (2018年11月)
主席研究員 島田 清彦
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奈良県人口(昨年10/1)は135万人で前年比8,693人(0.6%)減少〔2000年以降、18年連続の減少〕。

人口増減は、出生・死亡による「自然増減」と転入・転出による「社会増減」に区分できる。地方創生の取組みが始まった2015年と翌年の2年間(15年10/1~17年9/30)の奈良県の社会増減は-6,410人、社会増減率(2年間の社会増減数÷2015年10/1の推計人口)は-0.47%となっており、近年は年間3千人前後の社会減(転出超過)が続いている。

社会増減率-2.0%以下は県内で野迫川村-5.2%、東吉野村-4.1%、下北山村-3.9%など人口1万人未満の10町村が該当。-0.5~-2.0%の16市町村には宇陀市-1.9%、五條市-1.9%、大和高田市-1.5%など7市が含まれている。

市町村単位の社会増減を見ると、39市町村のうち香芝市+446人、葛城市+283人、王寺町+255人など8市町(うち7市町が人口1万人以上)で社会増となっている。また、社会減の31市町村のうち、大和高田市-1,001人、奈良市-958人、橿原市-756人、天理市-724人、五條市-619人、宇陀市-617人の6市で計-4,675人と、社会減全体(-6,410人)の73%を占めている。

県外社会増減(都道府県間での転入・転出)を見ると、転入超過は8市町村で生駒市119人、香芝市115人、王寺町98人などが多い。一方、転出超過は31市町村で奈良市-1,606人、大和高田市-713人、橿原市-693人、天理市-657人、大和郡山市-414人、桜井市-405人などが多い。

次に県内社会増減(県内市町村間での転入・転出)を見ると、転入超過は13市町村で奈良市648人、葛城市389人、広陵町347人、香芝市331人、上牧町191人、王寺町157人、斑鳩町140人、大和郡山市120人などが多い。一方、転出超過は26市町村で大和高田市-288人、宇陀市-292人、五條市-243人、御所市-240人、生駒市-193人などが多い。

県内・県外とも社会増となっているのは、香芝市、王寺町、川西町の3市町のみ。葛城市、広陵町、斑鳩町、三郷町、上牧町の5市町は、県外社会減を上回る県内社会増があったため、全体で社会増となっている。一方、県内・県外とも社会減となっているのは、大和高田市、橿原市、天理市、五條市、宇陀市など21市町村。

移住促進は「県外から」のイメージが強いが、実際は県内他市町村からの転入により社会増となっているケースも散見される。

奈良県内の各市町村で「地方人口ビジョン」や「地方版総合戦略」(2015~2019年度)に基づく地方創生の取組みが行われているが、これらの取組みが功を奏し、奈良県人口の社会減の緩和につながることを期待している。


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