一般財団法人 南都経済研究所地域経済に確かな情報を提供します
文字サイズ

受注好調な時には(2022年3月)
事務局次長 上席研究員 刀祢 善光
PDF版はこちらからご覧いただけます。

■鉱工業指数と生産高DI

ICT、電気自動車など半導体が不可欠な製品、サービスの需要は日々拡大を続けているが、旺盛な需要に供給が追い付かず、半導体の不足が頻繁に報じられている。そのような中で、工場新設、設備増強など対応する新規設備投資の計画が国内外を問わず動き出している。

経済産業省が発表した鉱工業生産指数(2021年12月分。2015年=100として指数化)によると、半導体製造装置などの「生産用機械工業」、集積回路などの「電子部品・デバイス工業」、「電池などの電気・情報通信機械工業」が高い数値を示している(図表1)。

図

また、当研究所の第190回地元企業動向調査結果では奈良県内製造業の生産高DIは食料品、プラスチック製品で改善が目立つ。新型コロナ感染症拡大に関する巣ごもり需要、医療・衛生需要を受け、企業心理が改善している(図表2)。

図

■生産拡大下の企業業績は

筆者が訪問したいくつかの県内企業でも電子部品・半導体関連の工場や設備への巨大投資に対応する生産増強の動きは活発である。また他分野でも、新型コロナ感染症の影響による需要拡大を受けて生産を拡大する企業も存在する。

新型コロナ感染症の影響も大きく、生産の現場では材料価格などの高騰、人手不足など悩ましい問題も発生している。たやすいとはいえない経営環境ではあるものの、これらの企業では旺盛な需要が生産から好業績へ波及するのではないかと感じている。

■「勝って兜の緒を締めよ」

戦国時代に一時関東の覇者となった北条氏の飛躍の土台を築いた二代目北条氏綱が嫡男である北条氏康に残した言葉と言われるのがこの言葉である。北条氏康は、戦に殆ど負けた事がなかった。父として氏綱が、「戦に勝って、兜を脱いだ時、敵が襲ってくる。勝って兜の緒を締めよ」と諭したと謂われている。

技術力やブランドなど需要拡大の波に乗れる実力が伴ったからこそ、追い風を受けることができる。反面、過去には供給不足や価格高騰などの急場というような場面では少なからず過度な値上げや産地偽装などの問題が起こったのも事実である。

先行きの需要はしばらく明るく、需要拡大への対応に注力する局面であろうが、今一度、基本に立ち返って周囲を見直してみることも重要と考える。短期の勢いではなく、各社さらに長く連勝街道を進んでもらいたいものである。