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家計調査から見た「生鮮果物」の消費動向(2015年10月)
事務局長・主席研究員 島田 清彦
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総務省統計局「家計調査年報(2014年)」に基づき「生鮮果物」の消費動向を概観する。


■生鮮果物の支出金額は上位5種類で約6割

2人以上の世帯における生鮮果物の2012~2014年平均(*)の支出金額は34,705円〔食料89.6万円の3.9%〕で、りんご、みかん、バナナ、いちご、ぶどうの上位5種類が生鮮果物の55.6%を占めている。柿〔奈良県の産出額は64億円:全国2位〕の支出金額は1,095円で、僅か3.2%と少ない。

1世帯当たり年間の品目別支出金額の変化〔増減率:00~02年平均→12~14年平均〕を見ると、デフレ等の影響から消費支出が6.9%減少、食料が5.9%減少する中、生鮮果物(冷凍・切り売りも含む)は17.1%減少。唯一バナナは金額が増加した。

一方、柿は購入数量が19.3%減少したが、価格が10.4%上昇し、支出金額は11.3%減少に留まる。

*家計調査のサンプル数は8,467世帯(2人以上の世帯:7,774、単身世帯:693)と少なく、個別品目の金額は調査年によって大きく変動する場合があり、その変動を緩和するために3年間の平均金額で比較している。


■世帯年収の違いが生鮮果物の消費に影響

生鮮果物は年間に何回購入されているのか。総世帯(単身世帯および2人以上の世帯)における生鮮果物の購入頻度(100世帯当たり)は8,013、つまり年間で1世帯当たり延べ80回購入されている。

柿の購入頻度は291、つまり年間で1世帯当たり3回弱(りんご:10回)購入されていることになる。単純試算であるが、1購入当たりの金額は346円程。

世帯年収の違いにより生鮮果物の消費はどのように変化するのか。年間収入五分位階級(*)別1世帯当たり品目別支出金額を見ると、第Ⅰ階級(244万円以下、高齢者世帯が多い)と第Ⅴ階級(737万円以上、子供を抱える核家族世帯等が多い)の差異は、生鮮果物1.8倍、なし2.3倍、りんご・いちご2.2倍、メロン2.0倍となっている。一方、柿は1.1倍で年収の高い世帯での購入が殆ど増えていない。

*全世帯を収入の低い方から順番に並べ(I~Ⅴ)、それを調整集計世帯数の上で五等分した5グループ。

家計調査を上手く分析・活用すれば、マーケティングの課題やヒントが垣間見える。一度、家計調査をじっくり読み込んでみては!(島田清彦)

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